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February 13, 2010

電気パン - 電気分解の応用として強引に(2)

予備実験の様子である。

Denkipan

牛乳の1L入り紙パックから、反応容器が2つ作れる。写真は、上半分を使い、屋根型になっている部分を切り詰めて直角に折り、包装用幅広テープで止めたもの。
接続ケーブルは、矢形の平たい端子と目玉クリップを使って作った。世間ではみの虫クリップを使っていることが多いようだが、AC100Vで1Aを流すので、それでは危ないと思う。
ホットケーキミックスは、150g一袋に対し牛乳(または水)を100mLと卵1個を加えろという指示であった。卵も牛乳もないので、水120mLだけを入れてやってみた。これでちょうど良い感じであった。生徒たちには、紙コップにマジックで120mLの高さに線を引いたものを配った。
電極のステンレス板は、高さ10cm足らずである。この高さに合わせるように紙パックを切らせる。ミックスは3倍くらいにふくらむ感じなので、最初に入れる量は下の方に少しでよい。元のミックスの量で50g相当くらい。

なお、理科教材としての電気パンについては、杉原和男さんのページの記述がとても参考になる。 ここ など。


いよいよ実験の開始。

本来、化学実験室は口にするものを取り扱う部屋ではない。ここはきちんと配慮する必要がある。

  • 雑巾で実験台をきれいに拭かせた後、雑巾を回収し、あらたに食器ふき兼台布巾として清潔な新しい雑巾を配布した。
  • ステンレス板は、「新しく買ってきた食器を最初に使うときに洗う感じで」きれいに納得いくまで磨くこととし、食器用の洗剤とスポンジを配布した。

通電を始める前に、少し、板書しながら講義を行った。

  • ふくらし粉のはたらき。炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式。生じる炭酸ナトリウムの、塩基性物質特有の苦み。市販のふくらし粉には、これを緩和するために酒石酸塩などが混ぜられていること。
  • パンがふくらむ理由。エタノール、二酸化炭素の発生。これからつくるのは、パンではなく電気蒸しパンであること。
  • 直流と交流。

    「え、交流って、知らない?ねえ、君たち、ドライヤー使うときに、コンセントにプラグを逆向きに差し込んだら髪の毛がぶわ~って吸い込まれちゃうとか、そういうこと、ないでしょ?」
    「あぁ、あぁ」

  • このホットケーキミックスの生地に電流が流れるのはミックスに食塩が加えられているためだが、食塩を直流で電気分解すると何が生じるか。この反応はこのあいだ教室でやったが、そのようなものは食べられない。しかし交流だと、生じた物質がすぐに逆反応で元にもどるらしく、電極表面もほとんど変化がない。

    「さっき、予備実験でできたパンの端っこにKI水溶液とフェノールフタレイン溶液をかけてみたけれど、塩素は検出されなかったし、強塩基性でもなかった。念のために電極板に触ってた部分を厚さ5ミリくらい切り落として捨てれば、食べても大丈夫です。」
    「やっぱり、化学だ」

  • 電圧とは何か。電気量とは何か。100V、1Aで15分間通電したときの電気エネルギーを計算すると。
やってみると、失敗する班がある。言われているように、ミックスを丹念に混ぜすぎるとこういうことが起こるようである。天ぷらの衣のように、ダマがまざってぽってりとした状態の生地でやるとうまくいく。
また、2回目3回目でうまくいかない班がある。これは、1回目のあとで電極板を洗わずに使っているため、電極板上に気泡があって電流密度が上がらないことが理由のようである。
ブルーベリージャムを用意しておき、各班、1回ずつはこれを混ぜ込んで焼くようにと言ってある。ジャムは紫色であるが、緑色の生地の蒸しパンとなって焼き上がる。これはふくらし粉の弱塩基性のためであって、紫キャベツの色素も同じ変色を示すことを、書画カメラとプロジェクターで全員に示してやる。
交流電流計を1台だけ物理から借りてきている(昭和37年度理振備品)。希望する班に使わせ、1A程度の電流が、水蒸気の発生がおさまってできあがるときには0.5Aを下回るようになることを確認させた。

あっさりと終えてしまう班もあれば、トラブルが起こって時間がかかるところ、またシロップの他にチョコチップや干しブドウまで用意してきて盛り上がっている班もある。
講義に時間を取ったこともあり、予定の2コマで終わりそうもなくなった。職員室に駆け込み、次の7校時の担当に掛け合って、とりあえず1コマを融通してもらった。3コマ連続の電気パンフェスティバルという予定外の事態になってしまった。

生徒たちは、おおむね満足した様子であったし、こちらも、この教材としてはかなりの「科学的」項目を入れ込んだつもりである。3時間を費やした価値はあった、と思うことにする。

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