« November 2008 | Main | January 2009 »

December 27, 2008

3都県合同研究会

26日、情報部会で、理化学研究所を見学するという研究会を行った。

昨年のこの時期に、横浜市金沢区にある地球シミュレータを見学するという研究会を行っている。これが、大変おもしろく、また参加者が多かった。この時期にこのような施設見学の研究会をするというのが、どうもニーズに合っているようだという判断から、今年も企画したのである。
そして、情報科全国大会の反省会で、こういうことをやるんだけどと言ってみたら、他県のみなさんの反応も良い。それではお誘いしようということになり、理研の地元である埼玉と、そのごく近くの東京の研究組織に声をかけた。そうしたら、こちらが提示した人数枠がまたたくまに埋まったのだそうで、3都県ともに、申し込みを断るような事態になった。こんなうれしい悲鳴をあげるのは、いったい何年ぶりだろう。

出かけたのは、理研の本所・和光研究所である。地下鉄副都心線が開通したので、和光市までは、神奈川からは意外に楽に行くことができる。
和光市駅から、歩いて15分ほど。広大な敷地にゆったりと建物が配置されたキャンパスであった。

見学・講演の詳細は、昨年と同じくVXさんのブログ、それに田中さんのブログを参照されたい。私は、印象を少しだけ。

スーパーコンピュータを見せていただいた。昨年の地球シミュレータは、見学用のデッキからガラス越しにコンピュータ群をながめるだけだったのだけれど、今回はコンピュータの置かれているフロアを歩いて見学させていただくことができた。「スーパー」というが、それは数の力なのであって、1台1台のコンピュータは普通の量産品なのだということがよくわかった(そうでないスパコンも世界にはあるのだろうが)。ただし、そこからはき出される熱風、それを冷やすエアコンを含め、やはり並々ならぬ装置であることは間違いなかった。

班に分かれての施設見学と講演は、私は表面化学の方を選んだ。化学と言うが、物性であって、物理に近い。走査型トンネル電子顕微鏡についてのやや詳しい説明であり、例の「世界最小の広告」などと呼ばれる、キセノン原子を並べた「IBM」の文字などもでてきて、楽しかった。
廊下に研究成果のパネルがいろいろ掲示されている。その中で特に感心したのは、金の表面に吸着された安息香酸分子の写真であった。安息香酸分子が、水素結合で2分子が対になり、そのユニットが金の表面に規則正しく並んでいる姿が見事に捉えられている。ほお~、と思った。

このような研究会は、各県、あるいは市町村にそれぞれある教員の研究団体によりひんぱんに開催されているのだろう。ただ、今回のように、県境を越えて有志が集まり見学をして、さらにその解散後に合同の懇親会兼忘年会が開かれてしまう、こういう例はめったにないことだろうと思う。今回の会は、その意味でも大変有意義であったし、情報科の教員ネットワークの値打ちを再確認することにもなった。

今度は、ひとつ埼玉か東京さんのほうで、よろしく。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

December 24, 2008

東京書籍 「数式エディタ」

私のところに、東京書籍の「高校理科メール」マガジンが配信されてくる。

ここに、「Tosho数式エディタ」が紹介されていたので、夏頃から使っている。これが、なかなか具合がよい。
Wordまたは一太郎のプラグインとして提供される、数学・理科向けの数式エディタである。東書Eネット会員限定の無償ダウンロードということになっている。
http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/downloadfr1/htm/cms68851.htm?r=080829

編集画面は、このようになる。

Teditor

この数式エディタでつくった「数式」は、オブジェクトとして文書に貼り付けられ、移動やコピーができる。ダブルクリックすれば、数式エディタが起動して編集画面になる。ボタンを押して部品を呼び出しながら数式をちまちまと作るのはそれなりに面倒で時間もかかるが、特に分数式などでは、普通にワープロの編集画面で罫線などを使って微妙な調整をしながら作るよりも、少し速く、だいぶ見栄えのする紙面を作ることができる。
欠点もある。それは、Wordでも一太郎でも、このオブジェクトを含む文書ファイルを、これがインストールされていない環境へ持っていくと、きわめて貧弱な数式が表示されるのである。もちろん印刷も同様であって、だから、自分が仕事をするマシンにはすべて入れておかなくてはならない。

私の職場では、数学の人たちはみな「スタディエイド」というものを使っている。これは、もう紙面全体を数式(を含む数学の問題)で埋めつくさんばかりになるのだが、彼らはこういうのが良いらしい。でも、理科の特に化学あたりでは、文章の中にところどころ数式を入れたいわけで、このような目的には、このツールはちょうど良いように感じる。

そういうわけで、目下、私のプリント作りは、一太郎+花子に加え、この数式エディタを使うようになっている。しばらくは、このスタイルで行きそうである。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

December 21, 2008

受電盤故障

午後7時すぎ。帰宅したら、自宅マンション前で何事か起こっている様子であった。住人が数名と、管理会社の人などがいる。水が出ないのでポンプを調べているが、原因がわからないと言っている。

技術方面の人が来て、いろいろと見ている。そのうちに、ポンプに供給されている3相200Vの電力がおかしい、3端子あるが、2端子間の電圧が200Vないところがあると言う。
みんなで表へ出て、東電の電柱から電線を引き込んでいる受電盤ボックスを開けてみた。

Swbox

見えるだろうか。鉄製の、配電盤収容ボックスの天井が、錆びて抜け落ちている。雨が降れば、容赦なく水が入り込んでしまう。これではブレーカーはたまらない。よく今までもっていたものだ。
いま、ちょうど大規模修繕工事が終わったところなのだけれど、こういう傷みは、下からの目視確認では発見できない。まったくの盲点であった。

いちばん右側が、水道水の加圧送水ポンプ専用200V系統のブレーカーである。これが傷んでいるのだろう。左の2つは各住戸へ配電される100Vの系統であって、これも早晩だめになることが予想され、取り急ぎ交換する必要がある。
東京電力の人が来た。一緒に受電盤を見てもらったら、やはり原因はこれだろう、不安定な「欠相」が起こっていて、そのためにポンプが回らないのだろうということになった。

とにかく緊急に、この交換をしてもらわないと、各住戸で水が出ない。管理会社の人に、私たちも加わって、とにかくこの日曜の夜に、交換用の機器を持って来てくれる電気工事屋さんをさがした。
そして、工事。東電の「電柱にのぼる班」が来て、投光器の光をあびながら、一次側の送電を停止。ついで、駆けつけてくれた電気工事のおじさんがブレーカーを交換。ふたたび東電の職員が電柱にのぼり、電気を供給。そしてブレーカーのスイッチを入れたら。
めでたく、ポンプが回った。

私を含め、4戸の住民が出てきて、ここまでを見守った。緊急の工事をしようということになり、見積もりも頼んだ。小さいマンションで住民同士も気心が知れてきており、こういうことは話が早い。
お休みなさい、お疲れ様でしたと言って、それぞれ引き上げる。11時すぎであった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 13, 2008

pH指示薬のpKa

テストが終わった。
1、2年については後期中間、3年については後期期末テストという位置づけである。3年だけ、しばらく前に後期中間をやったのである。そういう日程にした理由などについては、ここでは触れない。

3年化学IIの最後の問題。オリジナルである。

ブロモフェノールブルーというpH指示薬のpKaは4.0である。この指示薬を、安息香酸ナトリウム水溶液に滴下したとき、酸性色を示すか塩基性色を示すか。根拠と共に答えよ。
ブロモフェノールブルーなどという指示薬はまったくなじみのないものであるし、またpH指示薬を弱酸(または弱塩基)として見るといったことがらについては、授業では扱っていない。生徒たちは考え込んだだろう。正答率も低かった。 ただし、pKaという概念については緩衝液のところで出てきており、水溶液のpHがその物質のpKaと一致するときにその物質がどのような解離状態にあるかの議論はしてある。そして、もちろん塩の加水分解についてはきちんと話をしてある。だから、よく考えれば解けるはずなのだ。

試験の解説にあてるのは1コマだけで、簡単なものにならざるを得ない。
そうしたら、授業のあとに生徒が来て、これが分からないから教えてくれという。こういう質問はうれしいもので、少していねいに説明した。

「そうか、この問題は、2つことがわからないといけないんですね!安息香酸が弱酸で水酸化ナトリウムが強塩基だから、安息香酸ナトリウムの水溶液は塩の加水分解で塩基性を示すということと、ブロモフェノールブルーのpKaが4.0だということは、pH4.0でちょうど半分解離している、だからそこが変色域になってる。pH4は酸性だから、ブロモフェノールブルーはそれより塩基性側の水溶液に滴下されれば、塩基性色を示す。わかった!」

そう、そういう、わかった感は、気持ちいいでしょ。
この生徒は、私の出身校の化学系学科を第一志望にしている。あとしばらくの間、勉強、がんばれよ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 06, 2008

「1930年代・東京」展

東京都庭園美術館で開催中の、「1930年代・東京」展を見てきた。

1930

1930年代というのは、日本の年号で言えば昭和5年からの10年間にあたる。この時代の東京は、関東大震災からおおむね復興を遂げ、また第二次大戦の東京大空襲によって焼け野原に帰す前の、比較的良い時代であったのだろうと思う。この庭園美術館は、もとは朝香宮邸であり、これが宮自身の趣味によるアール・デコ様式で建てられた時代でもあった。

展示品は、特定の作家の作品ではなく、当時の美術工芸品、実用品、写真、絵画、雑誌表紙、また朝香宮邸建築に関する資料など。雑多とも言えるが、この時代の東京の空気がよくわかるように思われた。

街を描いた絵画が、特に印象深い。
それは、つまり私が物心ついた頃の原風景として記憶している東京の街が1960年代のものであり、それからさかのぼること30年の1930年代の街が、もちろん大戦をはさんでいるから大きく違うのだけれども、何となく懐かしく、活きたものとして受け止められたからである。そして、高層の現代建築が立ち並んでしまった現在の姿よりも、この1930年代の街のほうが、私にとってはむしろ心はずむもののように感じられる。日本橋も、数寄屋橋も。ああ、やっぱりこうでなくてはいけないのではないか、と。

良い気分で展示室を出る。4時すぎなのに、この時期はもう暮れかかっていて、街灯の明かりが目に入った。

1930_2

| | Comments (1) | TrackBack (1)

December 05, 2008

物理化学をしっかり身につけないと

物理と化学、ではない。物理化学。physical chemistryである。
何をいまさら、と我ながら思う。でも、化学IIの授業が反応速度から平衡まで進んできて、正直に、あらためて感じることなのである。

化学にもいくつかの分野があって、その中でも、私は有機化学や生化学に興味を持ってきた。炭素化合物の多様性や、生命を化学として見ることは、とても面白い。
ところが、高校化学においては、それらの比重は相対的に小さく、むしろ物理化学や無機化学のほうが手厚く取り扱われている。
私は、物化や無機はそんなに熱心に勉強してこなかった。それで、勤務校で教科書を越えるレベルまできっちり分かった上で授業をするとなると、これは時々、心細いことになる。

昨日も、若い相棒と話をした。平衡の式に[H2O]を書いたり書かなかったりするけれど、これ、どういう場合にどうなるのだろうかと。エステルの加水分解の式では書き、溶解度積の式では書かない。
やあ、それはつまり、[H2O]の変動を無視できるかどうか、じゃないの?エステルの加水分解では、平衡定数が10とかでしょう?それくらいだと計算にいれなくちゃいけないけど、酢酸の電離だと、…酢酸の解離度は0.01とかかあ。1/100くらいだと、無視して良いっていうことか。例の、1-α≒1が成り立つ範囲がそれくらい、っていうか。でも、[H2O]を書かないって言うことは、[H2O]=56mol/Lなんだから、それを定数に含めると平衡定数Kが56倍違っちゃうわけで。うーん、気持ち悪いよねえ。

こうなると、参照するものが必要になる。もはやWebでは効率が悪く、成書を見たい。それで、私の脇には、ずいぶんいろいろ大学レベルの教科書が並ぶことになった(いずれも邦訳)。こんなに入手できるのは、ネットオークションのおかげである。

そんなこんなで、調べたりしゃべったり。
勉強になる。いや、しっかり勉強しなければならない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« November 2008 | Main | January 2009 »