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October 03, 2008

ヨウ素溶液の色

化学IIが、溶液の化学に入っている。

第一の改訂化学II、第1章第4節問1。

塩化ナトリウム、スクロースおよびヨウ素の混合物から、ヨウ素を溶かし出すのに適さない液体は、次のうちどれか。
(ア) 水  (イ)ヘキサン  (ウ)ジエチルエーテル

ヨウ素は無極性の非電解質であり、それを溶かすのはヘキサンとジエチルエーテル。水は極性溶媒であり、ヨウ素を溶かさないだけでなく塩化ナトリウムやスクロースを溶かすので、この目的には不適である、というのが、おそらく正答である。

これを、実際にやってみた。
塩化ナトリウムとスクロース(ショ糖、つまり砂糖である)を目分量でほぼ等量取り、ここにヨウ素の単体を少量加えて、乳鉢で擦った。1班あたり3本の試験管にこれを少量ずつ分け入れたものを用意しておき、別に水とヘキサン、ジエチルエーテルの入った試験管を配って、固体の混合物に注ぎ、様子を見る。

I2soln

写真は、上の問題文と違って、左が水、中央がジエチルエーテル、右がヘキサンである。溶媒の極性順に並べた。

さて、結果は、予想と一致している。ただし、こうして実際にやってみると、ジエチルエーテル溶液とヘキサン溶液とで、ずいぶん色が違っているのがよくわかる。
教科書では、やってみることは想定していないのだろう。この色の違いは、高校レベルでは説明できないのだが、エーテルではヨウ素と電荷移動錯体が形成されて吸収極大が短波長側にシフトするため、このような色に見える、ということのようである。

教科書の問題はこれで終わりだが、せっかくなので、ヨウ化カリウムを配って、水溶液に加えさせた。茶色く変化するのだが、その化学反応を説明できる者は、残念ながらいなかった。これは、I-とI2が反応して、I3-が形成されることによる色の変化である。

エーテルやヘキサンのにおいをかいで覚えることも、おまけながら、目的の一つ。
こうした、ちょっとした実験を入れながらの授業で、物質観を養ってもらいたいと思っている。

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