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October 26, 2008

単元「コロイド」の工夫-チンダル現象を見せる

コロイド化学。
高校では、深く突っ込むことはできない。理論的な面でも詳しく説明することは難しいし、その必要もあまりない。時間も取れない。だから、さらっと紹介してすませてしまうこともできる。
でも、私は、(出身がタンパク化学であるためか)理屈はともかくとりあえずいろいろな現象を見てもらいたいという気持ちが強い。

Tyndall01

いつもの実験室である。教卓の位置に演示用の実験台がある。
ここで、水酸化鉄(III)のコロイド溶液を作ってみるのだが、ビーカーに純水を入れてバーナーで熱してみても、生徒からは、写真の左側に写っているくらいにしか見えず、冴えない。それを、じゃまにならない位置にビデオカメラを置いて望遠で撮影し、プロジェクタから投影すると、こんな風に見える。ぼこぼこと沸騰してきたら、塩化鉄(III)の濃厚な水溶液をピペットで滴下してやると、赤褐色の水酸化鉄(III)コロイドとなる。サッと色が変わる様子もよく見えたようだ。

これを使って、チンダル現象を見てもらう。チンダル現象というのはコロイド粒子によって光が散乱する現象で、コロイド溶液中にレーザー光のような光を通すと、その光路が光って見える。低分子量の物質が溶けている「真の溶液」では、光路は見えない。

Tyndall02

左が水、中央が作ったばかりの水酸化鉄(III)コロイド溶液。右は、アクリル絵の具の顔料を含まないメディアだけのものを、水に少量溶かした溶液である。このように、コロイド溶液では、半導体レーザーの光がきれいに見えている。

この実験、普通はビーカーで溶液を作ってそのまま光を当てる。でも、ビーカーはまるいので、光が屈折して扱いが難しい。そこでこのように、四角い容器をいくつも買ってきて、何種類もの溶液に一筋の光を当てるように工夫した。

光路が光っているところは、ビデオカメラ、また書画カメラで撮影した像を投影したのでは、あまりきれいに見えず、効果があがらなかった。それで、この3つをバットに入れて、レーザーポインタと一緒に生徒たちに渡し、回覧させた。
生徒たちは、暗幕を引いて暗くしたりして、いろいろと試していた。まずまず、といったところ。

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October 25, 2008

究極?のUSBフラッシュメモリ

まず、写真をごらんいただきたい。こういうものである。

Kingmaxsuperstick1g

KINGMAX のUSBメモリスティック、Super Stick というシリーズのもの。このように、旅行用歯ブラシセットのようなパッケージに入っている。私が買ってきたのは1GBで、1本税込み500円であった。総合ゼミ用に、6本購入。

調べてみると、このシリーズは2006年に発売になっているようで、すでに2年がたつ。長寿の定番品と言っていいのかもしれない。ただし、Web上の製品写真とは、少し様子が違う。これは後期型ということになろうか。
本体は、右上の写真のように、極めて小さく薄い。本体の一端がコネクタになっている。また、基板の裏面に樹脂コーティングされた面が、そのまま製品外装になっていることもわかる。よくここまでそぎ落としたものだ。

付属品は2点で、コイル状の短いストラップとシリコンゴム製のケース。装着の仕方は説明書になく、どうやって使うのだろうとしばらく考えた。そして、おそらくこうやるのだろうと組み付けた姿が、左下の写真である。
はじめは必要に応じて出し入れして使うのだろうと思ったのだが、どうもそうではなさそうである。右下の写真のように、使用時にはコネクタを覆う部分をはねあげて差し込むことができる。
いや、何とも。

総合ゼミ用にプリンタを買ったのだが、ネットワークで印刷できるような設定までは、ちょっと、やらないでおくことにした。それで、データの受け渡し用にこれを用意したのである。生徒が欲しがったらそのまま譲ってやってもいいか、と思っている。

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October 24, 2008

センター街マクドナルド

朝7時。渋谷センター街のマクドナルドにいる。

Centerst_mac例によって、目的地ちかくまで早朝に移動しておいて、朝食をとりながら時間をつぶしているのであるが、ここまで来るのは少し寄り道になる。実は、正高信男「ケータイを持ったサル」に描写されていた光景を見に来たのである。みなが一人で座り、ケータイでメールを打っては画面を見つめて返信を待っている、という姿である。
来てみると、残念ながらそのような世界は展開されていなかった。徹夜あけらしい若者は二人以上のグループでいるし、大人たちは出勤まえの朝食という風で、特段のこともない。今日は平日であって、あの本に描かれていた休日の朝とは様子が違うのかもしれない。あるいは7時ではもう遅くて、始発前後の5時ごろがそんな感じなのだろうか。

ただ、驚いたことが一つ。この2階フロアには、ガードマンがいるのである。店員ではない。警備会社の名前が入った制服制帽のおじさんである。抑止力(何のだ)としてそこにいるだけかと思ったら、店内を巡回して、眠っている客を起こしたりしている。

ここは、そういうところなのだ。

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October 16, 2008

総合で発表の準備開始

3年総合。
私の担当するゼミ「分子を知る」の受講者6名は、いずれもここまで大変よく有機化学に取り組んできた。

さて、いつまでも授業をしていてはいけない。全体発表会に向け、準備を始めなくてはならない時期が来た。
発表の方法は各ゼミごとに任されているが、大きく、講演形式の発表、展示、資料作成配布に分類されるらしい。ここから選んで申告し、全体発表に臨むのである。

私は初めてで、勝手が分からない。それでも、6人の性格は分かってきたし、また私のほうの指導のしやすさということもあって、ここは展示でいこうと考えた。つまり、ポスター形式の発表である。生徒たちも、それが良いということであった。
全体発表会の日に、体育館の壁に資料を掲示し、参観者に説明することになる。

Chemlabo2_6pc

今日(14日)は、テーマ決めと、ポスターを作るための資料集め開始。
県から配られているノート型PCを6台、情報教室からもってきてセッティングした。ほぼ1コマを要する作業である。このほかに、紙媒体の資料として大学レベルの有機化学の教科書を4種類ほどと理化学辞典などを置き、参照できるようにした。
生徒たちは、しかし、紙媒体には目もくれず、黙々とPCに向かう。ぐるっと巡回してみたら、全員が、きちんと化学のページを検索して、私が提示したテーマ例に即した内容を読んでいる。関係ないページを見て遊んでいる者がいないというのは、なかなか、大したものだと思う。

スクリーンに映しているのは、VXさんのブログ情報科全国大会のエントリで、私たち神奈川の教員がポスター発表している様子を見せている。

君たちは忙しいだろうから、この授業時間内だけでやればいい、と言ってある。あと90分を3回ほどで、ポスターを仕上げてもらうつもりである。

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October 14, 2008

明治学院大公開セミナー

朝の出勤時、電車の車内広告が目にとまった。
明治学院大学の広告である。公開セミナーの案内が載っていて、何人も並んでいる講師名のなかに鎌田慧とある。日付は10月14日、今日だ。開始は16時半。
… 6校時を終えてから駆けつければ、間に合うかもしれない。
明学は、ずっと気になっていた大学なのだけれども行ったことはなかったので、これは良い機会である。

降りだした雨の中、明治学院大学横浜キャンパスへ向かう。戸塚駅からの江ノ電バスは予想外に混雑していたが、大学まですぐに着いたので苦ではなかった。
丘陵地に開かれたキャンパスである。今日は木々が夕方の雨に煙り、とても美しい。校舎も清潔な感じで、敷地内にゆったりと配置されている。都内の質実剛健(!)な施設で学んだ者にはうらやましい環境である。

さて、この公開セミナーは9回連続であり、すでに第1回目は終わっている。リンク先のページを見ていただければわかるが、講師陣が思想的にたいへん幅の広い、魅力的な人選となっている。その第2回目が今日で、鎌田氏の講演なのであった。

鎌田氏は1938年生まれとのことなので、70歳になる。氏の筆致鋭いルポを読んでいるともっとずっと若い方のように感じてしまうのだが、期間工をした経験から書いた「自動車絶望工場」が1974年の出版であるから、なるほど、現在このような年齢でいらっしゃるのはおかしくない。私は氏の著作は数冊を読んだだけなのであるが、もっと早くから存在を知って読み始めたかったと思う。

講演は、『「民主主義」的管理主義と管理社会』と題するものだった。ある時期に学校教育で流行した「班競争」、企業で行われるQCサークル活動、また地方の集落でのあれこれの話とさまざまな要素をとりあげながら、日本社会の問題点を指摘していった。「改善」。企業内組合。派遣労働者。人材派遣業と法制。時間がきても、話は止まらなかった。

この公開セミナーは、無料かつ事前申し込みが不要であるばかりでなく、何も書かされない。アンケートすらないのである。ただ、その時間に大学の教室に入って座っていればよい。終わったら、そのまま解散。これで、いいの?と思うくらい。明治学院大当局の度量に感心する。

今日は、よかった。あとの回も、来られたら来たいと思う。

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October 13, 2008

有機化学 付録CD 2題

有機化学の教科書に、理解を助けるための視覚教材CDが付いていることがある。
私がもっている2点について紹介しよう。

ジョーンズ有機化学付録 Organic Reaction Animations

Jonesorganicchemistry

OrganicreactionanimationscdJones有機化学の第2版に付いているCD。邦訳では、下巻の方に原書と同じ物が付いている。

Windows XP で動く。Vista対応は未確認。

左上が起動時のタイトル画面。右上のように、章ごとに内容(反応アニメーション)が並べられている。反応は、下の2つの例のように、分子模型のアニメーションとそのときのエネルギー図によって示される。分子模型は、このような球と棒による表現のほか、HOMO LUMOによる表示などもできる。
左下はSN2反応。右下はアルケンのハロゲン化で、高校化学でも出てくる反応。二重結合にハロゲン分子が結合した中間体が示されている。

Organicreactionanimations

フォックス・ホワイトセル有機化学付録 Chemistry in Motion

Foxwhitesellorganicchemistr
ChemitstyinmotioncdFox Whitesell有機化学(原著名 Core Organic Chemistry 2nd. ed)付録CD。邦訳では上巻に付いている。

この本は、原著が97年、邦訳が99年の出版と少し古い。そのため、付録CDもWindows95対応である。95用のプログラムをWindowsXPで起動させようとしたがだめであった。ただし、同じCDにWindows3.1用のプログラムも入っており、こちらはXPで起動した。Vistaは未確認。また、この3.1版は、終了時に一般保護違反となるのだが、使用中には今のところ不具合を起こしていない。

左上がタイトル画面。目次は、図のように項目のアルファベット順、またページ順にも表示できる。
左下はクラウンエーテルにカリウムイオンが取りこまれた状態。再生ボタンを押すとくるくる回る。シスプラチン(白金錯体で、ある時期に脚光を浴びた抗ガン剤)なども載っていて、やはり古さを感じる。右下はアセチレンのsp混成軌道で、再生させるとぷよぷよと動く。これなどは生徒に見せたいと思う。

Chemistryinmotion


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October 07, 2008

溶解熱

1年化学I。

「化学反応と熱」に入っている。
ツカミに使う適当なミニ実験ネタがないかと考え、そういえば大日本の教科書に「凍り付くビーカー」というのが出ていたなあ、あれをやってみようか、と思い立った。ちょこっと予備実験。よし。

準備するもの。50mL程度のビーカーに硝酸アンモニウムを30g。別に水を20mL。ガラス棒、温度計、バット。6セットつくった。
これを教室へ持っていって(例によって大荷物である)、偶数列の前から2番目と後ろから2番目の席の生徒に渡した。水を硝酸アンモニウム入りのビーカーに注ぎ、かき混ぜて、温度変化を見るのである。

(勤務校の生徒たちは、こちらが改めて注意をしなくても、ちゃんと温度計をビーカーの端っこに差し込み、ガラス棒で結晶と水をかきまぜている。温度計でかき混ぜてしまう班は皆無であった。こういう小中学校で教わってくることについては、本当によく身につけている。)

温度は、25℃くらいから、各班ともおおむね-2℃まで下がった。大日本の教科書には20℃程度の温度低下がみられるとしてあるから、まずまずうまくいったと言えるだろう。
ただし、ビーカーの下を水でぬらしておいても、凍り付くまでには至らなかった。そこまで決めるには、水の量とか用いるビーカーの形状などの、コツを修得しておく必要がありそうである。

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October 03, 2008

ヨウ素溶液の色

化学IIが、溶液の化学に入っている。

第一の改訂化学II、第1章第4節問1。

塩化ナトリウム、スクロースおよびヨウ素の混合物から、ヨウ素を溶かし出すのに適さない液体は、次のうちどれか。
(ア) 水  (イ)ヘキサン  (ウ)ジエチルエーテル

ヨウ素は無極性の非電解質であり、それを溶かすのはヘキサンとジエチルエーテル。水は極性溶媒であり、ヨウ素を溶かさないだけでなく塩化ナトリウムやスクロースを溶かすので、この目的には不適である、というのが、おそらく正答である。

これを、実際にやってみた。
塩化ナトリウムとスクロース(ショ糖、つまり砂糖である)を目分量でほぼ等量取り、ここにヨウ素の単体を少量加えて、乳鉢で擦った。1班あたり3本の試験管にこれを少量ずつ分け入れたものを用意しておき、別に水とヘキサン、ジエチルエーテルの入った試験管を配って、固体の混合物に注ぎ、様子を見る。

I2soln

写真は、上の問題文と違って、左が水、中央がジエチルエーテル、右がヘキサンである。溶媒の極性順に並べた。

さて、結果は、予想と一致している。ただし、こうして実際にやってみると、ジエチルエーテル溶液とヘキサン溶液とで、ずいぶん色が違っているのがよくわかる。
教科書では、やってみることは想定していないのだろう。この色の違いは、高校レベルでは説明できないのだが、エーテルではヨウ素と電荷移動錯体が形成されて吸収極大が短波長側にシフトするため、このような色に見える、ということのようである。

教科書の問題はこれで終わりだが、せっかくなので、ヨウ化カリウムを配って、水溶液に加えさせた。茶色く変化するのだが、その化学反応を説明できる者は、残念ながらいなかった。これは、I-とI2が反応して、I3-が形成されることによる色の変化である。

エーテルやヘキサンのにおいをかいで覚えることも、おまけながら、目的の一つ。
こうした、ちょっとした実験を入れながらの授業で、物質観を養ってもらいたいと思っている。

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