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April 05, 2008

東山魁夷展

国立近代美術館で開かれている、東山魁夷展に行ってきた。

解説に、人気は国民的であるとしてあった。この展覧会も、なかなかに混んでいる。私も、こうしてやってくるファンの一人ということになる。

若い頃の作品は、私にはどうも、ピンと来ない。
それが、応召されて帰還してからのものは、独特の、水蒸気に煙るような東山カラーとなってくる。
この画家の作品の特徴は、基本的にモノトーンだというところにあると思う。白黒というのではなく、青であったり、紅葉の赤であったりする。画面の中に、あまりにぎやかにいろいろな色を置かないのである。その中でもすばらしいのが、青と白の世界である。日本画の岩絵の具、この色は緑青であろうか。

学生の頃だったと思うが、この画家の唐招提寺障壁画が完成したときに、たしか日本橋三越で展覧会があって見に行った。それは唐招提寺障壁画への道といったようなタイトルの展覧会で、画家の画業がいろいろと並べられた後、最後に、障壁画のうちのたしか「桂林月宵」が展示されていた。その、中国らしい山の形の上にぼやっと浮かぶ白い月の絵は、非常に美しいものだった。

あれから30年近くを経て、そのときには出ていなかったものだと思うのだけれど、障壁画のうちの「濤声」と「揚州薫風」を見ることができた。
技法の完成度という面からは、現代の新技法による水墨画である「揚州薫風」が上になるのかとも思う。でも、私には、「濤声」のほうが良かった。
襖絵という枠、横に長い画面に、寄せてくる波は2つしか描かれていない。その間に、海中にあって波に洗われる岩と、松の付いた岩。それだけの世界である。しかし、そこから広がる世界が、画面の外に、大きく想像される。
その画面は、寺院の建築の枠に収まっている。展示は、本来その襖がある場所の様子をよく再現してあるのだろう。柱、鴨居、それに畳まできちんと置かれている。
それらの、蒼然とした存在の中に、青白く輝く、広がりを感じさせる世界。

何とも、すばらしいものを見たと感じる。
展覧会後期には、一部展示替えがあるようだ。また、見に行くかも知れない。

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