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March 23, 2008

上村松篁展

21日の金曜日の話である。
早めに学校を出ることができたので、寄り道をして、そごう美術館で開催中の『上村松篁展』を見てきた。
通勤で横浜駅を通るようになって何年もたつのだが、こうして、帰りに美術展でも見ようかという気分になったことは、これまでにはなかった。

上村松篁といえば、私でも名前くらいは知っている、高名な日本画家である。
こうしてたくさんの作品を一度に見たのは初めてだが、いずれも、ち密できれいで、デッサンがしっかりした、日本画らしい魅力に満ちたものだった。

いちばん良いと思ったのは、たしか『春』という題のもの。
画面の左側に、背の高いキク科の草(名前はわからない)が生えていて、花がいくつもついている。そのうちのはやいものが、もう綿毛になり、その一つがちょうど風で散って、画面中央上部にかけて飛んでいる。その下にはキジがいて、飛んでいる綿毛を見上げている。
…いや、見上げているのではない。キジの首、くちばしの向きは、あくまで画面左側の、草の方を向いているのである。でも、その丸い目の黒目が、わずかに中央より上に描き込んであるものだから、このキジが、飛んでいる綿毛を見ていることが分かる。
キジの動きは、あまり感じられない。綿毛の飛ぶはやさに比べ、むしろのっそりとした印象を受ける。
ユーモラスな、何とも良い作品だと思った。

ところで、この画家は大変長生きをして、また、高齢になってからも作品を描き続けていたようだ。
それはそれで、価値のあることなのだろう。でも、それらの作品を見ると、広い面積の画面全体を微細に描き込んでいく力が画家になくなっていることが明らかである。画面構成だけで勝負しているように見える。
そういうものは、よく言えば、味があるとかこのような境地に達した画家だけが表現しうる世界だとかということになるのだろうけれども、どちらを取るかと言われれば、私は彼の若い頃の作品の方を取らざるをえない。

人間、気力体力の充実している時期にどれだけの仕事をするか。これはやはり、大切だと思った。
(え、おまえはどうなのかって?)

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