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April 11, 2007

高校で化学を学ぶ意義

(以下は、1年生「化学I」の最初の授業で私が語った内容。授業支援ブログ「化学学習支援室」に書いた文章と同一である。)


化学は、新しい物質を創り出すことができる。新しい有用な物質を創り出して世の中に送り出せば、大変役に立つ。これは、他の学問には決してできないことだ。

ただ、私としては、もう少し別の面を大切にしたい。それは、私たちの生きて暮らしているこの世の中は、結局、物質でできているのだから、化学を学ぶことで物質について理解が深まれば、宇宙の、世の中の、私たち自身の理解が深まることになるわけだ。

だが、そのようなことを勉強して『理解を深め』たところでそれが何の役に立つのだろうか。化学、あるいは自然科学や工学の道に進む以外の者にとって、それは、単にセンター試験で使う科目というだけの意味しかないのだろうか?

そうではない。

現代の進歩した世の中では、科学は、なかなか一般の人の理解が及ばないところまで行っている。だからといって、研究を、判断を、専門家だけに任せておいてはいけない。正しい、バランスの良い知識と、確かな判断力を持った非専門家によるチェックを受けてこそ、科学は健全に発達していくことができるだろう。つまり、独走するかも知れない科学者たちを(腎臓移植手術の問題を見よ!)、世論が監視しなくてはならないということだ。

化学は不人気な学問であるかも知れないが、皆さんには、なるべく楽しく興味深い内容を提示しながら授業を進めていきたい。そして、物質世界に対する理解を深めてもらいたい。さらに、10年後20年後に世の中のよき構成員となっているであろう皆さんに、社会の一員として、正しい判断材料を持って世の中の科学的問題に意思表示をしてもらいたい。

そういうとき、「そういえば高校の化学でこんなことを習った気がする」と思い出されるような材料を、この一年間で、たとえいくつかでも身につけてもらいたいと思っている。

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