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February 11, 2007

普通の高校の「情報」(終)

いつまでもだらだら書いていても仕方がないし、また、繰り言や言い訳のようにもなってきたので、この話題については今回をもって終わりにしようと思う。

2003年、教科「情報」が始まった。授業担当は、在職者が講習を受けて新教科の免許を取得し、これにあたることになった。
神奈川県立普通科高校の場合、3年間の期間中に、だいたい各校2~3名程度が講習を受けた。この人たちは、おおむね、各学校でコンピュータが得意であると見なされ、教務や進路でデータ処理を担当していた人、あるいはそれと重なるが、学校設定科目や商業科の科目を選択で置いてコンピュータを活用する授業を担当していた人たちであった。
その、コンピュータを活用する授業というのは、12月7日の記事で書いたように、アプリケーションソフトを使えるようになることを目的とするものであることが大部分であったのである。

担当者たちは、もとより、情報科を担当するものとして採用されたのではない。数学や理科である。その中には情報系の学科を出て数学の免許を取ったという者もいるけれども、彼らが大学でやっていた情報科学はそのまま高校で教えられるものでもない。GUIのWindowsマシンを使ってお仕着せのアプリケーションソフトを活用しながら行う高校教育の場での情報科、それも1年生の必修科目としてどのようなものであるべきかという点については、やはり、ほとんど素人同然…と言っては叱られるだろうか。
今まで模索しながらやってきた学校設定の情報系科目があり、また、商業高校ではワープロや表計算の検定に受かるための授業などもやっていて生徒はよく取り組んでいるらしい。生徒用実習機に入っているのはMS-Office。
こうなると、MS社のアプリケーションソフトを使わせることを主な内容として新教科「情報」をとりあえずスタートさせるのは、やむを得なかったのである。

しかし。多くの教員は、そのような授業をしてはいても、「MS社のアプリケーションを教えること」が情報科の内容だとは考えていなかっただろうと思う。ワープロならワープロ、表計算なら表計算で、ビジネス文書はこういう書式で書くのだとか、表計算では関数というものを活用すると便利だよとか(今でもそういう内容を教えている短大もあるようだ)、そういうあたりから狙ったのである。ところが、入っているのはMS-Officeであって、一太郎などは入っていない。入れようにも予算が付かない。だからせめて、お話の中でいろいろと自分たちが過去に使ったことのあるアプリケーションソフトの紹介をするのだが、生徒の受けはあまりよくない。

そう、多くの生徒や保護者にとって、学校でコンピュータの授業があれば、そこに期待するのはワードにエクセル、インターネットとメールなのである。そういうものを使えるようになって、仕事に就くときに少しでも有利にと。
だから、操作手順を教えてもらいたがる。代替となるソフトを紹介しても喜ばない。また、そうして操作を覚えたってWindowsがVistaになってOfficeが2007になったら全然使えなくなっちゃうよ、もっと基本になる考え方から理解しようと言ってやっても、ただ不興を顔に表すばかりである。

そんなこんなで、MS-WordやMS-Excel、加えるとすればPowerPoint。このあたりを教える科目が情報A、という学校があるという状況は、まだしばらく続くと思う。私自身はそれでいいとは思っていないが、保護者の持つ教育権を付託されて教育活動を行うのが学校なのであるから、生徒保護者の要請に合致しない情報の授業を(学問のために?日本国の将来のために?)バリバリやるのが正しいとも思わない。

世の中の理解が進むのを観測しながら、それをこちらへフィードバックして、少しずつ、現状から脱却していこう。

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» [教育]教科「情報」がどこに行くのか [mkawanoの日記]
上の記事を書いたあと、関連するブログを見ていて、気になったこと。高校での教科「情報」の現状と、まわり(大学、保護者、社会)の認識に、なにかズレのようなものがあるような気がしています。 以前書いたこの記事。リンク先の記事に、そのつづきがあります。読んでいく... [Read More]

Tracked on February 27, 2007 at 13:50

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