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November 10, 2006

平成狸合戦ぽんぽこ

テレビでやっていたので見てみた。

表面的なテーマは、人間による多摩丘陵の環境破壊に対するアンチテーゼを狸たちに語らせている、ということになるだろう。そこだけしかとらえられなければ、寓話にもなりきれていない安っぽい説教であり、ジブリの中でも駄作である、という評価になってしまう。ネット上の掲示板を見てみても、そういう記述が多い。
でも、私は良いと思った。

ひとつには、これは寓話になりきれていないということと表裏一体なのだけれど、リアリティがあったこと。「耳を澄ませば」のときとちがって、京王線はちゃんと6000系の顔をしているし、何より、地名がしっかりしている。堀之内は、まさに造成の中心だったろうし、その残土が藤野に捨てられたとか、追われた狸が町田へ移動していったとか、そうだろうなあと思わせる。私は、こういうディテールの部分に嘘臭さというか考証の甘さがあるととたんに興ざめするたちなのだけれども、この作品は、OKだった。
それと、いろいろと挿入されている小さな仕掛けが、ああなるほど、とか、はいはい、あれね。ああ、こんな絵になるのか。という具合に、楽しめるものだったこと。わらべ歌をひねってみたり、平家物語をふまえてみたり。まあ、推定年齢999歳の老狸に那須与一に化けさせて扇の的を射させることが必要なのかどうか分からないけれど。

一人(?)の人格に、複数の姿を与えるという演出も、面白かった。狸の姿で3種類、それに人間に化けた姿を加えると4種類。見る方は、まったく違う絵で描かれている像を、同じ人格(?)であると認識する必要がある。
こういう演出方法は、一般的なものなのだろうか?私の知る限りでは、「軽井沢シンドローム」に例があるだけである。これは、80年頃、ビッグコミックスピリッツに連載していたたがみよしひさの作品である。

そして、語りの古今亭志ん朝。はじめのうちは原稿を几帳面に読んでいる感じだったけれど、ラスト近くなると、志ん朝節が出てくる。いやあ、嬉しい。
さらに、最後のテロップを読むまで知らなかったのだけれども、小さん、米朝、文枝、こぶ平といった落語家たちが声の出演をしているではないか。途中で寝てしまった娘の要請で後半の録画をとってあるから、明日、また見直して声を味わおう。

まあ、ラストがあれでいいのか?といった部分はあるけれども、私は、じゅうぶん楽しかった。

(11月13日追記)
後半を見直した。それと知って見ると、小さんや米朝、文枝の各師匠の声が、とても良い。
米朝師匠には「狸の化け寺」というネタがある。この噺の中で狸が術を使うのだが、その趣向は「ぽんぽこ」に描かれているものと変わらない。この映画は、狸に関する我々の伝承の、正統に位置するものなのだと思った。

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