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September 02, 2006

用語「充電池」に反対する

いつの頃からか、「充電池」という用語を目にするようになった。
私は、この用語を使用することに反対する。

言うまでもないことだが、化学エネルギーを利用する電池は、放電反応だけを行う一次電池と、逆電流を流せば放電時と反対の化学反応が起こって「充電」することができる二次電池とに分類される。
二次電池は、蓄電池という別名をもつ。また、充電式電池と呼んでもよいだろう。

電池の種類としては、以下のようなものがある。
一次電池に、原理的なものとしてダニエル電池。実用的には、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、水銀電池、空気電池など。
二次電池に、鉛蓄電池、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池など。
こうしてみると、種類の名称としては、「電池」の前に、発見者の名前だとか、電極や電解液の材料、形態といったことがらを示す語をくっつけて命名されていることが分かる。

これに対し、「充電池」である。
「充」+「電池」?「充」とは何か?それとも、「充電」+「池」??

いや、こんな嫌味なことを書かなくても、「充電式電池」を詰めた言い方であることは分かっている。
しかし、この詰め方は、意味が通らない。詰めるにしても、センスが悪いのである。

英語の battery に対し、先人が、電池という訳語をあててくれた。うまいと思う。
他にも、電気(雨雲から下りてきている気というほどの意味であろう)、元素(英語の element に対して他方面での要素という訳語でなく元素という訳語をつくったことはすばらしい)、神経(神秘的な経絡であろうか)。いずれも、そのまま中国語の用語としても採用されている。こういう用語は文化遺産である。

これらに対し、充電池とは、いかにも配慮を欠く造語であろう。
このように、だらしなく間を省略した言い方は、他にもまま耳にする。しかしそれは、仲間内での会話などにとどめるべきもので、公の場では使うのを控えるのが、言語生活における品というか格というか、要するに、大人になっていくに従って身につけていくべき態度である。

そもそも、二次電池に対しては、蓄電池という立派な別名がある。これを使えば問題ないはずなのだ。

少し性格の異なる例になるが、「ガリウムヒ素」という用語がある。これは誤訳である。gallium arsenide だから、「ヒ化ガリウム」でなくてはならない。こういう話をして首をかしげる人に、私は、

「食塩をナトリウム塩素とは言いませんよね?」

と言ってみたりする。

用語には、ちゃんと意味が込められている。考えて、納得して、しっかり使っていきたいところである。

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