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July 30, 2006

論理的な表現力を養うには

先ほど、朝日小学生新聞編集部あてにメールを送った。その全文である。


朝日小学生新聞編集部 御中

はじめまして。子どもの読者からのメール発信を期待しているであろうしくみを使って、大人が意見を述べるのは気が引けるのですが、一言申し上げたく、キーボードを叩いております。
私は、小学四年生の子どもの父親です。貴紙を、小学校入学のすこし前からずっと読ませております(もっとも、マンガしか見ない日が多いのですが)。また、私自身、小学生のときには貴紙を愛読しておりました。

さて、貴紙に対しては、もちろん好意を持っており、だからこそ、自分の子どもにも定期購読で与えてきております。

しかし、本日付紙面のトップ記事には、非常に落胆を感じました。

「夏休みにつけようことばの力」という大見出しで、全国の学力調査の結果を報じており、その中の「論理的に考えたり、表現したりすることが苦手」という部分をとらえていますね。賛成です。私も、そこのところは、今日の日本の学校教育で、弱点として抱えている問題だと認識しております。
しかし、「効果的な学習法は」「作文編」に書かれていることは、いったい何なのでしょう。「ねらいを持って書く訓練を」は良いとして、「感動の場面をまとめてみる」という小見出しが付いています。そして本文には、

 (1) 読書感想文 (中略)あらすじはコンパクトに、自分が感動したところなど、自分と本とのかかわりの部分はふくらませる。 
 (2) 観察文 (中略)ひとつの対象を細かく、さまざまな角度から見てことばにする訓練になる。絵日記風にしてもよい。
 ほかにも、「この夏休み、一番心にのこった日、感動した場面などをことばにのこしてみましょう」 

などと書かれています。

これは、まさしく、伝統的な日本の国語教育、それも、こういうことをやっているから、日本人は論理的な表現力が育たないのだと批判されてきている、そのままの内容です。今日の記事の趣旨からすれば、当然、こういうことを学校でしていてはいけないのだ、という論理の流れにならなくてはならない。それなのに、せっかく貴重な問題提起をしておきながら、このような、旧態依然たる、感動を伝える文章を書くおすすめが掲載される。これは、いったいどういう事なのだろうか。
非常に不思議であり、また、極めて残念に思います。

Web上には、たとえばこのような文書があります。
http://www.bunka.go.jp/1kokugo/16_tokyo_6-4.html
これは、つくば言語技術教育研究所所長の三森ゆりかという方が、平成16年度の文化庁日本語教育大会、日本語教育研究協議会の第4分科会で「年少者への日本語習得支援の関係者を支える知識・技術・心構え」と題して行った講演の記録です。日本人が論理的な表現を不得手としていることが、ご自身の海外生活での経験をふまえながら、大変興味深く、説得力を持って表されています。
こういったテキストを読んだとき、貴紙の記事中にある、世田谷の校長さんの話が、何とうすっぺらく見えることでしょうか。

私は、本職は化学の教員ですが、ここ数年間は、情報教育の方にかかわっています。そこで、「伝える」ということに力点を置いて活動しています。小学校以来、ウェットな感性にこだわった国語教育を受けてきた子どもたちに、きちんと物事が伝わるテキストなりWeb Pageなりポスターなり、そういうものを作らせる実践をしています。
そして、貴紙のような影響力のあるリーダー的メディアには、ぜひとも、旧来の悪習を正していくようなコンテンツを掲載した紙面をつくっていただきたいと考えているところです。そのため、このような文章をお送りしようという気になりました。

何卒、拙文の意をお酌み取りいただきたくお願いするとともに、失礼の段をお詫びして、結びといたします。


さあ、返事が来るだろうか?

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