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May 03, 2005

『経歴ロンダリング』

あまり良い言葉でもないが、『経歴ロンダリング』。主に理系で、学部よりも、いわゆるランクが上とされる学校の大学院へ進むことで、社会へ出てからランクの高い学校を出たと自称すること、という説明で合っているだろうか。

これに対しては、考え方がいくつかあるだろう。
例えば、まじめに研究をしたくて大学に進学したい場合でも、受験競争が厳しく、なかなかそれなりの大学に入れない、という場合。英語のテストで得点力がなければ、望む大学にはいることは難しい。実際の研究の現場では、化学なら化学英語が読み取れればいいのであって、英文学や英語でのジャーナリズムの文章を読めるかどうかは、研究の力には関係がないのに、である。このようなとき、やや不本意な大学で学部を過ごしても、大学院はしっかり研究のできるところへ進む、という選択はあり得る。

これが可能であるためには、同じ大学で比較した場合に、学部の入試に合格するよりも、院試に合格する方が易しい、という前提条件が必要である。

昔は、その部分が、必ずしもそうではなかった。例えば、20年あまり前の都立大理学部~理学研究科。化学科は、内部からは受ければまず受かり、他に、他県の国立大や、都内の私立大からも入ってきて、定員が埋まるくらいの状態だった。かといって、東工大や東大の院を受けに行くということは、前例がないわけではなかったが、まず非常に難しい、特殊なことであるという認識だった。そんなことを考えるより、内部の有利さを生かして上位で合格し、育英会の奨学金受給資格を取ることを目指して院試対策の勉強に励んだものだった。
また、地理科では、院の定員が少ないこともあったが、他大学から受けてくる学生がとても優秀であって、内部からはなかなか進学できない状態だった。まして、他大学の院へ行くことは、難しかったのではないかと思う。

さて、ここからは、夕べの飲み会で、現役の大学の先生方から聞いた話。
このところ、大学院重点化という流れがある。それに伴って、東大以下、どこでも院の定員を増やしているが、その定員が埋まらないと、いろいろと、よろしくない。そこで、学生集めに走っている。例えば、学部の成績を持って行って、それがある程度のものであれば、院の一次試験は免除であるとか、そういうことがどんどん行われている。学生も、それに乗る。つまり、もう、理系へ進むなら、大学院まで見越して計画を立てるようになってきていて、高校の先生も、生徒にそういうことを言うのだそうだ。
しかし。ある大学院の学生が、就職活動で企業へ行ったら、「あなた、学部はどこの大学ですか」と聞かれたそうだ。企業は、大学院が入りやすくなっていることを知って、それが指標にならないと見ると、今度は研究の内容を聞くのではなくて、学部の大学名を聞く。その方が、どれだけの力を持っているかを見ることができると考えているわけだ。…

こうなると、狐と狸の化かし合いである。むなしいものを感じる。

そもそも、『経歴ロンダリング』という言葉。マネーロンダリングからの造語であろう。汚いものを洗ってきれいにするというわけだ。そんな風に考えないで、どこで何をやってきたのか、堂々と語ろうよ、と思う。でも、そういうことを言うと、あなたは苦労しないでまっすぐ進んできた人なんでしょ、とか言われたりする。そんなことないし、そういう問題でもないでしょ、とも思うのだが。


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Comments

「学歴ロンダリング」という名称で4月上旬頃の日経新聞に記載されていました。意味は、こちらのblogに書かれているものと同じです。

私自身、数学教育(大学)→情報教育(大学院)と研究分野の変更を行った際に「学歴ロンダリング」となってしまいました。このように名前を付けられてしまうとちょっと悲しいですね。

Posted by: Myvitzrs | May 04, 2005 09:38

そういう名称もあったのですか。
これ、真摯に勉強・研究を進めるために、その場を変えて行っている者に対して、
「何だおまえ、うまく立ち回ってるじゃないか」
みたいな、やっかみ半分の物言いとも思えます。実際には、「そんな方法があるのか」と、不純な考えで活用する者はあまりいないのではないか、と見ているのですが…。

Posted by: aromatic kam | May 04, 2005 23:55

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