« コピーコントロールCD | Main | 中和滴定実験 »

February 07, 2005

分子量測定実験

今日は、2年の化学IIで、気体の分子量を測定する実験をした。
理想気体の状態方程式、

p v = n R T

この (物質量)が、(気体の質量)/(モル質量) と等しいので、

p v = w/M R T

と書け、ここで pvTw を測定すれば、気体のモル質量つまり分子量が求められる、という教材である。

これは、旧課程では化学IBに入っていたし、私たちが昔習った化学Iにも入っていた。ついこの間まで、普通科の高校生はだいたい習う項目であったのだが、新課程では化学IIに入っている。全国の高校生のうち、何割が化学IIを履修するのか知らないが、私の勤務校では、2年生240人のうちの、たった7人だけである。

実は、私は生徒実験でいままでやったことがなかった。そういう状況にはなかった。今年も、7人だからやってみる気になったのである。大人数では、ちょっと、…。

MW3年生の授業もなくなり、空き時間がふえた。予備実験ができる。左の写真のような装置を組んだ。
丸底フラスコは500mL、ビーカーは2000mLのものである。こんなに大きいのはいらないし、使いにくいのだが、なぜか勤務校には300mL丸底フラスコと1000mLビーカーが1個ずつしかない。生徒たちにも、1人をのぞいて、この大きなものでやらせることになる。やってみて分かることだが、フラスコに浮力が働いて、扱いにくい。

試料としてシクロヘキサンを使ってみる。3mLほどをフラスコに入れ、加熱を開始する。寒いし、水の量が多いので、1時間以上たっても沸騰するまでに至らなかった。液体がなくなったし、次の授業が迫ってきたので、フラスコに差し入れた温度計の読みが80度のところで加熱を中止する。このとき、湯の温度は85度以上あった。容器内の気体の温度が均一であったかどうか心配だったが、フラスコの質量の差を求め、気圧も測定して計算してみると、分子量86.7とでた。シクロヘキサンの分子量の計算値は84.1であるから、誤差は3%程度である。このような実験の結果としては、上出来であろう。

生徒たちには、なるべく別々のものを測定させようと思う。7名だが、大学の化学科に進学が決まった3年生をひとり、補習の意味で呼んで一緒にやらせるから、8つのサンプルが必要だ。
ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素、CClF2-CCl2F の5種類を用意した。いずれも少量を三角フラスコに取り、A~Hの符号をつけておく。ヘキサンとシクロヘキサンは、2人ずつ。

急に思い立って実験をするので、実験プリントをつくっていない。何しろ、1から10まで指示してやらないと動けないし、レポートが書けない。そこで、黒板に、このまま書き写せばレポートになるように、板書しておいた。

bansyo1

bansyo2

bansyo3

さて、生徒たちは、実験に取り組んだ。水から加熱したのでは時間がかかることがわかっていたから、別に湯を沸かしておいて、それをつかうことで、加熱時間の短縮を図った。そのため、ビーカーの水が沸騰するまで加熱することができた。そのときの、フラスコに差し入れた温度計の読みは90度くらいであった。

ところが、出てきた結果は、予想に反し、本来の分子量よりも大きくずれたものとなった。私の予備実験ではうまくいったのに、不思議である。
ヘキサンを試料として渡した2名が、いずれも、分子量64という結果を出した(本人たちは、ヘキサンだとは知らない)。ヘキサンの分子量は86である。ずいぶん小さな値となっている。
他の者も、だいたい似たような傾向であった。1人、クロロホルムを試料として渡した者が、分子量121という結果を出した。119.5であるから、これは優秀であった。

分子量が小さく測定された理由を、同僚と考えた。
同僚曰く、お湯からスタートしたことが原因ではないだろうか。水から始めれば、試料が気化して、ゆっくり空気を追い出して、フラスコの中は試料の気体だけになるだろう。それを冷やせば、正しく、その温度でその体積を占めるだけの試料が、凝縮して残る。しかし、今回、セットした実験装置に、沸騰したお湯を注いだ。これにより、試料が一気に気化し、容器内で対流を起こして、空気と混ざってしまったのではないか。空気を十分に追い出すことができず、見かけの分子量が小さくなってしまったのではないだろうか。
なるほど、それは、十分に考えられる。試料も、気化して実験室内に放出されるので、健康や環境のことを考えて、そんなに多めには入れなかったし。

せっかく予備実験して、良い結果が出そうだからと生徒実験を行ったのに、本番で違うことをしたために、結果が思わしくなかったというわけだ。そういうことをしてはいけないと、知っていたのに、つい、よかれと思って、やってしまう。うーん。
また、あさって、このクラスの授業がある。説明しておかないといけないな。

|

« コピーコントロールCD | Main | 中和滴定実験 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/69195/2842322

Listed below are links to weblogs that reference 分子量測定実験:

« コピーコントロールCD | Main | 中和滴定実験 »